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乾飯には、糒あり、餉あり、糒は、ほしいひと雲ふ、干飯の義にて、糯米お蒸して乾燥せしめたるものなり或は粟、黍等にて、製したるもあり、古は兵士の糧食、及び旅行の用に供したるのみならず、或は日常の食用に供したることもあり、各地にて製すれども、就中河内国道明寺、陸奥国仙台の産最も名あり、餉は、かれいひと雲ふ、乾枯飯の義にて、其実、糒に異なるところ無けれど、旅行には専ら餉と雲ひ、貯蔵には糒と雲ひたるが如し、粮はかてと雲ふ、かては、かりての略語にて、乾飯料の義なりと雲ふ、麨は、こがしと雲ひ、香煎と雲ひ、又はつたいとも称す、米、麦等お蒸して乾し、之お熬りて細末にし、湯水に点じて服するなり、