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三省録
後編二飲食
酒井家の藩士草野文右衛門といふ人、城中に宿直する時も弁当おば持ず、干飯の焼米の類お袋に入て持参り、用なきときは取出し、すこしづゝ食ひて多く食せず、一日二度あるひは三度と定て、度々は食することなし、用なき時は出して食ひけり、其故お問に多く食せざれば、中ることもなく、また隙おも費さず、陣中にて甚便利なりといへり、