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貞丈雑記
六飲食
一饂飩又温飩とも雲、小麦の粉にて団子の如く作る也、中にはあんお入て煮たる物なり、混純と雲はぐる〳〵とめぐりて、何方にも端のなき事お雲詞なり、丸めたる形くる〳〵として、端なき故混純といふ詞お以て、名付たるなり、食物なる故、偏の三水お改て食偏に文字お書なり、あつく煮て食する故、温の字お付て温飩とも雲なり、是もそふめんなどの如くに、ふち高の折敷に入、湯お入てその折敷おくみ重ねて出す也、汁并に粉醋さい抔おそへて出す事、さうめんまんぢうなどの如し、今の世に温どんと雲物は切麪也、古のうんどんにはあらず、〈切むぎ尺素往来にみえたり、〉