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皇都午睡
三編中
京摂にて饂飩蕎麦お商ふ家は、饂飩の方お題とするにや、うんどんやと雲ふ、東都は蕎麦お題とする故、悉くそばやと雲也、扠加役ものにても唱へ大に違ひ、のつぺい、しつぽく抔とはとなへず、てんぶらそば、鴨南蛮、霰、花巻、など呼て数種有、それお隻挑らへれば皆蕎麦題なり、うんどん好まば、饂飩にて南蛮とか、てんぶらとか挑らへぬ時は、蕎麦やと雲ば、皆そばにすることなり、蕎麦に二種有り、かけもりも有り、かけはぶつかけ、もりは小青楼に入て、猪口にだしおつぎ出すなり、