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貞丈雑記
六飲食
一そばきり喰様の事、旧記に見へず、上臘名之記に、そばお女の詞にはあふひと雲由みへたり、〈そばの葉はあふひの葉に似たる故也〉又そばのかゆお〈そばのかゆとはそばかきのこと歟〉うすゞみと雲事も見へたり、〈色うす黒きゆへなり〉然ればそばきりも、古ありし物なれども、表向などへ出ざる物故、喰様の法式なども記さゞるなるべし、