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二老略伝
広沢〈○細井〉酒お嗜ずといへども、食品は酒人のごとし、淡泊お好む、敢て膏梁滋味お好まず、然れども松魚のさしみお好みて食し、河漏お常に嗜て喰ふ事絶へず、信州上州の人書お需るものあれば、潤筆必ず蕎麦お以てする故、蕎麦数斗お貯ふ、三日に必一度は河漏お用るなり、鶏卵のふは〳〵などに、焼塩或は雲丹お以為塩梅、