[p.0536]
皇都午睡
三編中
宿替引越の節、上方の宿茶とて、附木等お配ることなく、江戸は悉く蕎麦お配ること也、蕎麦やもよく心得て、附合は何軒、大家〈家主〉はどこそこと皆配りて後、其代いくら〳〵と取に来る、誠に無雑作なり、奉公人の新判おもて来る者にも蕎麦にて済也、こちより親元へ判取にやる、是にも蕎麦也、目出度につけ悲しきに付け、皆そばにて仕来りとはなしけり、是等馴れてはおかしからね共、始の内は独笑すること也、○