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物類称呼
四衣食
糕もち(○○)〈和名もちひ〉 関西にてあも(○○)と雲、江戸にては小児に対してあもといふ、〈○中略〉かゞみ餅(○○○○)、諸国の通称也、円なる形によるの名なりとかや、東国にてそなえ(○○○)と呼、又ふくでん(○○○○)共雲越後及信濃にてふくでと雲、掻餅(○○)〈鏡餅に刃劔おいるゝお嫌て、手お以てかく故にかき餅といふ、今刃物お以てへぎたるおへぎもちといふ、〉越後にてけづり餅(○○○○)と雲、同国にてかき餅お氷らせて、名づけてしみ餅(○○○)といふ、ある人のもとにて掻餅お炙りて出せり、余りにかたかりければ、老の歯には得及ばじといふ、あるじのいふ、さらば掻餅によする述懐と雲題にて、狂歌よめといひ侍れば、 老の身の今さら恥おかき餅のむかふ鏡の昔恋しき 吾山