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日本歳時記
七十二月
二十六七日、此比糕お製すべし、此日より前に立春の節に入らば、大寒の節の内に、別に糕お作り、今日は年始に用るのみお製すべし、臘水にて糕お製すれば、味美にして、久に堪へ、且和なる故なり、然ども歳初に用るは、日数多く歴たるは堅硬なる故、早く製すべからず、但大寒の内に製しても、その翌日より水に漬置ば、常にやはらかなり、凡糕お製するに、少にても酒気ある器に米おかし、又はかし米おあへるいがきに酒気あれば、必あしゝ、たとひ初一たび酒にふれ、後に度々余の事に用ひ、久しくなりて、酒気なきと思ひ、其器お用れば糕ゆるくして煮ればながれて用にたゝず、必つゝしみて酒にふれたる器お用べからず、