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名菓秘録
二編
粽一粳米の粉お湯にてこね、真菰にても笹にてもよろしき方に、能かげんに湯煮しつゝむなり、 内裏粽一粳の上白米おいかにもこまかにはたき、大きくつくね、よく〳〵煮て、さて取りあげ水およく去り、臼にてつき返し、扠粽ほどにとり、笹の葉にてまき、また煮るなり、また粳の上白米水にて、何べんもよくあらひ、すこしほどはかしはたき、絹ふるひにてふるひ、水にてこね、少し堅めにしてすこしづゝ取平め、蒸籠にならべ、能蒸て、むせ上りたればとりあげよくつきて、扠つねの粽の形にまるめ、成丈しめ巻なり、巻目ゆるければ、まきあと付ざるなり、白米壱升に粽四五十ほど取るなり、 朝比奈粽一上々白餅米お水にて一度あらひ、椿のあくにて二時半ほどひやし、こしきにて蒸餅にすれば、黄色になるなり、それおつねの粽の形に仕合、藁のしべにてつゝみ、また上おもしべにて、常の如く巻、すこし湯煮にして遣ふなり、