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筑前続風土記
二十七土産
橡(とち)餅 博多にあり、餅屋九右衛門と雲者其製精し、はいの木の葉お焼て灰汁とし、米お染て製す、故其色黄なり、其味脆寒にして甜美也、隣国よりも来り買者多し、是完永の初年、高麗人博多にて始て此製法お教へたりと雲、他国にはいまだ此物有事お聞ず、京都江戸食品珍差甚多しといへども是なし、とち餅といへども、とちの木は用ひず、はいの木おあやまりてとちと雲成べし、