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物類称呼
四衣食
牡丹餅ぼたもち〈又はぎのはな又おはぎ(○○○)といふは女の詞なり、〉 関西および加賀にてかいもちと雲、豊州にてはぎ餅と雲、羽州秋田にてなべすり餅と雲、下野及越前越後にて餅のめしと雲、下総にてがうはんと雲、 今按に、ぼた餅とは、牡丹に似たるの名にして、中略なりとぞ、萩のはなは、其制煮たる小豆お、粒のまゝ散しかけたるものなれば、萩のはなの咲みだれたるが如しと也、よつて名とす、かひもちとは、上がたにてかいといふ詞は、関東にてついといふにおなじ、つい餅になる故にかいもちと雲、又粥餅也とも雲いかゞ、奥の仙台には蚫お日にほし粉になして、もちに製す、名づけて貝もちといふ、出羽の最上にては、蕎麦ねりと雲物おかい餅と雲、又下総の国にては、糯米お焼て煮たるに、小豆の粉お上下に置て、椀に盛たる物お合飯(がうはん)と雲、或は夜舟といふは、いつの間につくともしれぬと雲意なり、又隣しらずといふも同じ意なるべし、奉加帳とは、つく所も有つかぬ所も有といふ心也、