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守貞漫稿
六生業
善哉売京坂にては、専ら赤小豆の皮お去ず、黒糖お加へ、丸餅お煮る、号て善哉と雲、汁粉売江戸は赤小豆の皮お去り、白糖の下品或は黒糖お加へ、切餅お煮る、号て汁粉と雲、京坂にても皮お去りたるは汁粉、又は漉餡の善哉と雲、又江戸にて善哉に似たるおつぶしあんと雲、又まし粉あんの別に全体の赤小豆お交へたるお鄙(いなか)汁粉と雲、或は八重成あり、八重成は小豆に似て碧色也、蓋夜賈は上に雲汁粉一種お販るのみ、店賈は数品お製し、価も貴きあり、夜賈のは三都ともに一椀十六文也、又三都ともに此賈お正月屋と異名す、行灯にも正月屋と書る者多し、又三都ともに善哉売汁粉うりは、温飩やそばやの扮に似たるお以て省略して不図之也、