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名菓秘録
二編
百合餡一これは白きお第一とするゆえ、砂糖類極吟味お遂て製すべし、唐三盆又は氷砂糖ともに煎じ方に念お入べし、前にしるすごとく、百合の目方おかけ分て、其目方と等分に砂糖お入て、火かげん第一に気お付て煉つめるなり、 長芋餡一これは百合と同断にて、白きお第一とするゆえ、やはり砂糖なる丈吟味おなして、目かたお懸わけ、砂糖お等分に入て、火かげん第一に気おつけて煉つめべきなり、 白餡一白大角豆(さゝげ) 四百目 一三盆白 六百目右煎じ置たる砂糖お銅鍋に入、遠火にかけて、白大角豆の漉粉お少しづゝ入て、ゆるやかに煉詰るなり、又紅あんには、右の白あんの鍋おおろして、暫くして分量して紅お入て、火にかけずしてねるなり、紅お入て火にかくれば、忽ちこげて色黒くなる也、猶度々手がけざれば、よしあし知れがたし、よく心得て製すべし、