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江戸流行料理通大全
初編
菓子の心得の事一菓子といふは、砂糖にて製たるものにあらず、菓子はくだ物也、四季の木実草実おいふ、料理の終りに出すは、料理の厚味魚鳥お食し、食熱おさますため也、料理にかゝはりたるにはあらず、後に工夫ありて作れる也、砂糖は冷なる物なれば、悪き物にあらず、宜といへども、さりながら木の実草の実お盛合出すが宜し、此理お捨べからず、茶請は砂糖にて作りたる品宜し、茶の味ひには宜もの第一也、仍て茶菓子とは献立には書ず、茶請と書事也、