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原中最秘抄
ふずくとは粉熟也、稲、腅麦、大豆、小麦、胡麻、此五穀お五色にかたどりて、粉にして餅になして、ゆでゝ甘葛かけてこねあはせて、ほそき竹の筒おして、その中に堅くおし入て、しばしおきて突出して、其勢双六の調度のごとくまなぶべし、五穀は式たりといへども、五色おそなへたるあひだ、色々おみせんとおもふには、青色にははゝこの草餅、若は米の粉おうつし、花おときて染てかたむべし、黄なる色には粟お色こき苅安にても支子にても、そめてかたむべし、赤き色には小豆、白き色には米、黒き色には胡麻たるべし、衝重に土器おすへて、青黄赤白黒と、かみより次第に、たかさ三四寸がほどすえひろにもるべし、其中に銀もしは瑠璃のごときなどに、甘葛に麝香おすこしすりて入くはふべし、又此五種お、めしに随てあまづらおそへて、一二づゝなどとりわけてまいらする事あり、