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類聚名物考
飲食二
きんとん きんとう考ふるに、是は江家次第に餛飩、今の世にもこんとんといふ物なるべし、混混とかけり、鳥の卵の如くにてあれば、日本紀の神代紀の巻の初に、まろがれたる事、鳥の玉子の如しと有によりて、名付しなるべし、きんとんは、その意あきらかならず、今のこんとんは、うきふ餅の如きあんお入たる丸き餅お、味噌汁にて煮たる物也、今京都辺にてきんとんとも、きんとうとも雲餅あり、江戸のあん餅の事也、