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瓦礫雑考

まんぢう本草蒸餅の附方には、饅頭餅とも書り、蒸餅とおなじ物なれども、中に餡お入るゝお饅頭といふ、餡はもと獣肉また蔬菜などおいるゝもの也、こゝには肉お用ひしことは聞えざれども、菜おば包みたることはありと見えて、七十一番職人尽に、さたうまんぢうさいまんぢうといふことあり、さたうまんぢうはよの常の饅頭なるべし、〈○中略〉饅頭のもとの形お考ふるに、かの職人尽の絵に書たるは、今の腰だかまんぢうに似たり、そも円く作りたるものなるべけれど、蒸籠に入て蒸す故に、下は平になる理なり、これお形円からむとおもふは、墳お土饅頭といひ、〓麻(けいま)の実お檾(けい)饅頭、薜茘の実お木饅頭といへるおもてなり、