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守貞漫稿
六生業
岩起売粔籹の一種也、粔籹おこしごめと訓ず、故に仮字して起と雲、岩は剛堅お雲なり、大坂道頓堀二井戸西に津の国屋清兵衛、専ら製之売て今世名物となり、冬月毎日所用の黒糖大約二三百斤、黒糖お用ふること概海内一とす、製之場粗造酒に似たり、人夫数人お以て製之、京以西諸国に漕す、始め極て貧民製之漸富、当主僅二世、又他店にて贋製之者甚多し、ともに津清に擬て、筥に梅鉢の記号お描けり、価真偽ともに小形二文半、大形四文に売る、伝売者には価お減じ売る也、伝売者甚多く、陌上お売は皆伝売のみ、因曰伝売俗に受売と雲、