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翁草
五十七
武者小路殿歟烏丸殿歟忘れたり、御門弟の某新製の菓子、けぬが上(○○○○)と雲るお捧ければ賞し給て、其家の雑掌なる人の、取敢ずよめる由して下し給ふ、 心ざしあつき氷のけぬが上に積りて深き雪もめづらし、仮初の戯も優艶也けり、其菓子は氷砂糖に衣お掛し製也、銘も誰が名付しやらんいとおかしげに聞ゆ、