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古事記伝
四十二
佐加美豆久良斯は、万葉十八〈十一丁〉に、多知婆奈能(たちばなの)、之多泥流爾波爾(したてるにはに)、等能多氐天(とのたてて)、佐可弥豆伎伊麻須(さかみづきいます)、和我於保伎美可母(わかおほぎみかも)、又〈卅丁〉佐加美都伎安蘇比奈具礼止(さかみつきあそびなぐれど)雲々、十九〈卅九丁〉に、酒見附(さかみつき)、栄流今日之安夜爾貴左(さかゆるけふのあやにたふとさ)、などもありて、宴楽のことなり、〈○中略〉又思ふには、神名帳に、造酒司坐酒殿神二座、酒弥豆男神、酒弥豆女神、姓氏録酒部公条に、大鷦鷯天皇御代、従韓国参来入、兄曾々保利、弟曾々保利二人、天皇勅有何才、白有造酒之才、令造御酒、於是賜麻呂号酒看都子、賜山鹿比咩、号酒看都為氏、〈○注略〉などある酒美豆は即酒のこと(○○○○○○○○○)にて、然雲意は、栄水(さかえみづ)なるべし、さて其お佐気(さけ)とのみ雲は、水お省たる名なるべし、〈師雲、酒と雲名は、栄と雲ことなり、是お飲めば、心の栄ゆるよしなり、〉