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東雅
十二飲食
酒さけ〈○中略〉倭名抄に玉篇に雲、醪は、汁滓酒也、漢語抄に、濁醪読でもろみといふ、説文に雲醅は醇未釃也、漢語抄にかすごめといふ、俗には糟交といふと注せり、もろみの義不詳、〈我国之俗、凡物の二つなるおもろといひて諸の字お備用ゆ、みとは実也、凡物の形あるおいふ、猶身といふが如く、古の時にもろみといひしは、汁と滓と二つ相混ぜしおいひ、いまだ済(したま)ざるおかすごめといひしと見えたり、かすとは糟也、こめとは籠也、猶糟交といふが如し、今の如きは、汁滓の酒おば、濁酒といひ、其いまだ済ざるものおばもろみといふ、古にいひし所に同じからざるに似たり、〉