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雲錦随筆

浪華の良賤お始め、近郷の家毎に九月生土の神事には、醴お醸て神に供じ、来客にも勧め、家内の上下これお祝ひて飲お風とす、故に俗に醴祭といふ、又浪華へ渡海の船舶、極月湊に泊りて越年なす者、多く醴お造て、歳首に船玉神に供へてこれお祭るお風とす、されば一夜酒お用て神に供ずる事、その例久遠なる事になん、