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成形図説
十一農事
酒食沖縄蝦夷は地粟お以て焼酒お造れり、沖縄にて粟盛といふ、気味酷烈此間の人多く飲ば、酔弊に至る、而に南島の人は此粟盛お恒に飲こと、焼酒に異ならず、夏月の鬱燠(あつき)には、此お冷ながら飲ざれば、暑気お散すことならざるなり、是天道自然に此物お彼南方に製しめて、人命お利済に在り、故に粟盛沙糖の輩、本藩に於て造るといへども、徒に土力お労し、工夫お費し、久して却て損失多し、此亦風土の自然なり、