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童蒙酒造記

本直しの事一焼酒壱石に付粕五斗入掻合せ、蓋おして三日四日めに船にて揚る也、一上白の米壱斗、白麹にして出次第一上白の餅米弐斗六時計り水に漬て蒸す也、右の食正月頃は荒息五六篇出す、二月人肌nan温めに醒し、三四五六月迄も造り申候、食段々冷し切申也、扠右麹と群なく交ぜ合せ桶に入、其後右揚たる焼酒壱石入掻合せ、蓋おして口お張、夫より九日めに擢入るなり、扠又張置、造り込より日数四十四五日め五十日め迄にて呑て、焼酒の香除き次第、又清次第に上呑口nan引取也、但し造り桶は細高底nan一尺五寸、上に呑口付る也、又一尺上にも付る也、勝手次第也、是は急而支度して、大形呑口nan引取也、泥は船にて揚候也、一本直し別法は、味醂酒のごとく、造米麹米共に餅米にて造り、水は諸白お用る也、依之味醂酒nan為浸と甘く候、焼酒お諸白に替るばかり也、