[p.0745]
童蒙酒造記

麻生酒(○○○)之事一麻蒔頃造りて麻苅頃口お開る故、麻生酒といふ、又或説に曰、元来麻蒔時畑に造りたる故、麻生酒と雲也、醅共に呑酒也、一二月中旬造りて、三月末四月初に口開る也、但し造り込より日数三十日さへ過候へば、口開けて不苦、仮令右の酒夏お越、秋冬自然来年迄有之候ても、風味替る事無之候、一麻生酒の法、世間に多しといへ共、就中此方勝れ候、依之寛文年中尾州(○○)大守大納言光友公へ、家臣成瀬氏献上、風味異他由御褒美、其後嘉例として毎年被差上方也、