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渡辺幸庵対話
一江川酒(○○○)の事、文字如此にては無之候、豆州之内大川(○○○○○○)と申処有之候、則大之宇お書てえと読申候、鎮守は大川大明神也、此処にあり、水にて造り出申酒にて、昔江川酒と名付申事、小川おえ川と読申候、江川には鱒鮭無之物に候故、ます酒なきと称美の詞にて、え川酒と申候、処の名とは、唱は同じ事ながら、文字替り申候、小川長左衛門殿と申仁、大番より此処の御代官被仰付、御収納米にて此酒お造らせ献上に候、代々長左衛門殿は二百石取被申候、