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宗五大草紙

大酒の時の事〈同殿中一献の事〉一公私共に召出に参る人の身体、酒ののみやう以下、にこ〳〵となきは悪よし、金仙寺〈○伊勢貞宗〉いつも被申候て、若き人には稽古させられ候し、〈○中略〉一盃の台にすはりたる盃の事、貴人の御盃ならば、いくつもあれ一つヾ戴きてのむべし、台ともに戴くと申人候へ共、それはわろきよし、金仙寺の給ひ候ひし、〈○中略〉一三ぼし(○○○)、五ぼし(○○○)ののみやう如此といふ、但金仙寺にも、故勢州にも尋候はず候、前 書付のごとくのむべし 同前一十度のみとは、縦ば十人丸く居て、盃お十中に置て、先壱人盃と、てうしお取てはじめさせ申し、さて次の人にさして、其人にてうしお可渡、扠又次の人のみて、前のごとくすべし、まはり酌也、盃お請取てから、銚子お人に渡し候迄、物おもいはず、肴おもくはず、口おものごふべからず、若さやうの事あれば、とがおとしおのませらるゝ也、盃は人の器用によりて、三ど入白土器などにても侍る也、あひの物などにては、見および候はず候つる、とがおとしの盃はあひの物五ど入などにて候し、又十度のみの盃には、酒の入候程墨お付候、一鶯呑(○○)とは、両人出て十はいとくのみたるお勝と申候、盃不定候、