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嬉遊笑覧
十上飲食
酒の飲くらべ、昔しよりあれど、慶安のころ、地黄坊樽次が、大師河原の底深と酒戦の事、水鳥記にしるして世に聞えたり、底深樽次は作名なり、水鳥記に、大師河原に池上太郎左衛門底深とあり、洞房語園に、県升見といふ医師、大師河原甚哲と酒戦の事おいへり、その酒戦の杯は、蜂と竜とお蒔絵にしたる大杯なり、さすのむといふ謎なり、七部集、〈沽甫〉大師河原に遊びて、樽次といふものゝ孫に逢ひて、そのつるや西瓜上戸の花の種、