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兎園小説
十二集
大酒大食の会文化十四年丁丑三月廿三日、両国柳橋万屋八郎兵衛方にて、大酒大食の会興行、連中の内希人の分書抜、酒組一三升入盃にて三盃 〈小田原町〉堺屋忠蔵〈丑六十八〉一同六盃半 〈芝口〉鯉屋利兵衛〈三十〉其座に倒れ、余程の間休息致し、目お覚し、茶碗にて水十七盃飲む、一五升入井鉢にて壱盃半 〈小石川春日町〉天堀屋七右衛門〈七十三〉直に帰り、聖堂の土手に倒れ、明七時迄打臥す、一五合入の盃にて拾壱盃 〈本所石原町〉美濃屋儀兵衛〈五十一〉跡にて五大力おうたひ、茶お十四盃飲む、一三合入にて弐拾七盃 〈金杉〉伊勢屋伝兵衛〈四十七〉跡にて飯三盃、茶九盃じんくお躍る、一壱升入にて四盃 〈山の手〉藩中之人〈六十三〉跡にて東西の謡おうたひ、一礼して直にかえる、一三升入にて三盃半 明屋敷の者跡にて少の間倒れ、目お覚し、砂糖湯お茶碗にて七盃飲む、右之外酒三四十人計り有之候へども、二三升位のもの故不記之、