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梅園叢書
酒食欲の誡近き比松平伊豆守信綱は、一時の賢君なりしが、ある夜咄の序、臣等酒の徳おのべ君にすゝむ、信綱の宣ひけるは、女等みな子あり、その子の悉く酒お呑まん事お願ふか、飲まざらん事お願ふかと有りければ、臣等暫く黙して居たりしが、子は酒お飲ざらんこそ親のこゝろやすく候へとこたへける、