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日本山海名産図会

醸酢黒米弐斗、一夜水に漬して、蒸飯お和熟の儘、甑より造り桶へ移し、麹六斗水壱石お投じ、蓋して息の洩れざるやうに、筵薦にて桶おつゝみ纏、七日お経て蓋おひらき拌(か)きて、又元のごとく蓋して、七日目ごとに七八度宛拌て、六七十日の成熟お候ひて後、酒お絞るに同じ、〈酢は食用の費用はすくなく、紅粉昆布染色などに用ゆること至つて火し、〉是又水土家法の品多し、中にも和州小川、紀の国の粉川、兵庫北風、豊後船井、相州、駿州の物など名産すくなからず、