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顕注密勘
十六
君まさで烟たえにし塩がまの浦さびしくも見え渡る哉これは河原左大臣〈○源融〉の六条河原にいみじき家作て、池おほり水おたゝへて、うしほ毎月に三十石まで入て、海底の魚具等おすましめたり、陸奥国のしほがまの浦おうつして、あまの塩屋に烟おたゝせて、もてあそばれけるに後、おとゝうせられて後、塩がまの烟たえたるおみて、貫之のぬしよめる歌也、