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人倫訓蒙図彙

塩焼(○○) 夕汲夕水は女の業としてこれ汲也、同じ海辺の者なれば、魚とる海人になぞらへ、夕汲海人ともいへり、夕は海にて汲、薪は山にもとめてこれお焼ゆへ、薪とる老夫お塩木の翁ともいへり、誠に塩やくありさま、みるにくるしき業なり、人家はなれたる海辺にて焼ぬれば、朝夕に立のぼるけふりの風にしたがひて、さま〴〵の風情おなすは、又くらべみんものなきゆへ、しほ屋の煙とてこれおあひし、歌人もこれおめでゝ和歌には詠ずるぞかし、