[p.0823]
近世奇人伝

儈似雲儈似雲、始の名は如雲、安芸の国広島の人なり、〈○中略〉須磨の浦に有ける時、久しく絶たる塩竈お興して、しほやきそむるとて、〈是延享四年卯正月十五日と、その自記に見ゆ、〉 絶てみぬもしほの煙立かへり昔にかすむしほがまのうら しほたれし昔の人の心までけふ汲みてしるすまの浦なみ我再興せし塩がまも、又けぶりの絶侍りければとて、 身にぞしむ又こりずまにやく夕の煙も絶し跡のうらかぜ