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大和物語

よしみねのむねさだの少将ものへゆく道に、五条わたりにて、雨いたうふりければ、あれたるかどに立かくれて、〈○中略〉日もやう〳〵暮ぬれば、やおらすべりいりて、この人おおくにもいれず、女くやしと思へど、せいすべきやうもなくて、いふかひなし、〈○中略〉此女のおや少将少将に饗(あるじ)すべきかたのなかりければ、ことねりわらはばかりとゞめたるに、かたしほ(○○○○)さかなにして、さけおのませて、〈○下略〉