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料理物語
万聞書
正木ひしほ(○○○○○) 大麦白一升一夜水にかし、さは〳〵と煮ていかきにあげてむす、大豆八合むしくひはづかけえりて、水にてあらひほし、よきほどにいりて、こまかにさら〳〵と引わり、かはおさる、右二色まぜやはらかにむして、あつさ五分程にむらもなくひろげ、上下にうどんの粉二合五勺ふりてねさせ、はなよくつきたる時おこし、あら〳〵とくだき、少し日にほし、花のちらざるやうにして、かみぶくろに入置、何時にても五日まへに、こうじ四合、塩弐合五勺、水一升入りつくり候、冬は十日十五日前よし、右こうじしほみづお、ぐら〳〵とわかしよくさまし、桶にても、つぼにても作り入、日あたりにおき、一日に五六度もかき候、色のつき候までそとにおく、但五升とも仕候へば、塩三合づゝ入よく候、