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日本歳時記
四六月
此月、醤油、ひしほ、納豆などお製すべし、〈○中略〉♯金山寺豉の製法、〈和州達摩寺の秘方也、又居家必用にもあり、〉大豆一升いりて引わり皮お去り、麁と細とおふるひ分べし、大麦一斗能しらげよく〳〵 洗、水に一宿浸し、右麦と麁抹の大豆とお一つにして蒸し、熟したる時細末の豆粉お拌ぜ土室に入、ねせて麹となす、さて麹塵の付べき一日前に、茄〈切て四つとし、切たる茄子壱升ほど、〉白瓜〈これも香物ほどに切、壱升ほど、〉塩四合、右茄子と瓜とお四合の塩に合せ、桶に入おしおかけ一夜置、明日上に出たる水お取、麹おひたし瓜茄子もおなじくかきまぜて、桶に入ふたおしておもしおよくかけ置、毎日一二度かきまぜ、十日許過て後、茴香、山桝皮、山椒、穂蓼、紫蘇お能ほどに切て拌、又前のごとくふたおして、重石おかけ置、毎日かきまぜ七十日過て用べし、三四十日に及べば、漸味つくなり、後に加る五味は、分量その人の好みによるべし、