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重修本草綱目啓蒙
二十二果
石蜜♯白沙糖お用て石蜜お造る、白沙糖とは別なり、釈名の註に、白沙糖お併入するは非なり、氷沙糖お造る法は、天工開物に詳なり、曰造氷沙糖者、将洋糖煎化、蛋青澄去浮滓、候視火色、将新青竹破成篾 片寸斬、撤入其中、経過一宵即成、天然氷塊造獅象人物等、質料精粗由人と、〈○中略〉紅毛より来る者は、微赤色お帯ぶ、水に浸す時は砕け易し、俗に洗と呼ぶ者は潔白なるお雲唐山より来る者お用ゆ、質堅して砕けざる故なり、尋常の者は微黄色お帯ぶ、末にすれば至て白し、是おこほりおろしと雲、♯増、〈○中略〉按に蘇恭の説に、西戎来者佳と雲、孟詵の説に、波斯来者良と雲に拠れば、唐山にも惟蛮夷より将来して、製法は伝らざりしと見ゆ、然れども今は清舶多く齎来すれば、已に其法お伝ふるなるべし、本邦にも文化年間、讃岐の人始て其法お得て阿州に伝ふ、白沙糖に炉甘石雞卵等お加へ、煎煉して壺中に収め、静処に安じて、七十日許お過れば自ら結成す、その壺少にても動揺すれば凝結せず、故に七十日の中に地震すれば必ず成らず、大抵三四月に製するお良とす、冬月には却て氷状おなさず、