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守貞漫稿
後集一食類
砂糖♯守貞〈○喜田川〉雲、日本上古無之、中古以来長崎入舶の蘭一種持来る、蘭館の地名お出島と雲により、其糖お出島白と雲、支那よりは三種白糖お持来る、上品お三盆と雲、次お上白下品お太白と雲、皇国製糖の始は、官甫に此種お伝へしお、池上太郎左衛門なる者拝受し、駿遠二州(○○○○)より植始め、後四国に伝へ植ゆ、其創製の時、余舅小島彦兵衛、太郎左衛門と力お合せ、農人に教へ弘む、此彦兵衛弘化四年七十九歳にて卒す、然れば其創製は天明完政の頃なるべし、今は白糖は讃州(○○)お第一、阿(○)次之、駿遠参泉(○○○○)等又次之、黒糖其以前は薩(○)より琉球(○○)産お渡すのみ、創製以来紀州土州(○○○○)お第一とし、泉駿遠三(○○○○)其他も産之、近世菓子用のみに非ず、一切食類に用之、料理蕎麦天ふら用蒲鉾に迄用之こと甚し、