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重修本草綱目啓蒙
二十七虫
蜂蜜〈○中略〉♯砂糖蜜あり、白き者は白糖に老酒お雑へ煮造る、黒き者は黒糖に酒お雑て製す、皆薬に入るに堪へず、試法釈名の下時珍の説に、以焼紅火筋、挿入提出、起気是真、起煙是偽と雲、又杉形の茶碗に蜜お入とさして後他器に傾け、あとに砂の如き者残るは砂糖蜜なり、砂なきは真蜜なり、又傾くる時透明なる者は真なり、濁て沫だつ者は沙糖蜜なり、舶来に数種あり、交止蜜、大泥(だに)蜜あり、白蜜黒蜜蜂蜜の三品、唐山より来る、皆沙糖蜜なり、必其内に蜂お多く入る、和産の蜜色黄白にして、細砂の如く凝結す、薬には煉蜜お用ゆ、その煉る時、必蜂其香お聞て多く飛び来る、唐蛮の蜜お煉るに、一蜂も来らざる時は、真に非ざること知るべし、白蜜お煉る時、上面に沫の如き者浮ぶお採り去るべし、是蝋なり、