今昔物語

二十六

利仁将軍若時従京敦賀将行五位語第十七♯今昔、利仁将軍と雲人有けり、〈○中略〉利仁此お聞て大夫殿未だ暑預粥に飽せ不給かと雲へば、五位未だ不飽侍と答ふ、利仁いで飲飽せ奉らばやと雲へば、五位何に喜う侍んと雲て止ぬ、〈○中略〉若やかに穢気無き下衆女共の、白く新き桶に水お入て持来て、此釜共に入る、何ぞの湯桶すぞと見れば、此水と見は味煎也けり、亦若き男共十余人許出来て、袪(たもと)より手お出して、薄き刀の長やかなるお以て、此の暑預お削つヽ撫切に切る、早う暑預粥お煮る也けり、