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譚海

鰹節おこしらふるは、皮ともにふしに切て、蒸籠につめてむす也、薪には青松葉お用ゆ、松の葉にむされて、鰹の皮と身の間にあるあぶらしたヽり落る事、数日其後せいろう取出し、皮お去て常の焚火にてむす事一日して、四斗樽に入ふたおして、四五日へて取出しみれば、青きかびひまなく生ずるお、縄にてすり落し、又樽につめ入てふたおなし、四五日経て取出せば、かびお生ず、それおすり落して又もとのごとく樽にいれ置、後にはかび生ぜず、其時取出し日のあたる所にほしたるお、最上のものとす、此ごとくせざるは鰹節になせし後も、暑中はかびお生ずる也、