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醒睡笑
七廃忘
京辺士にてある東堂の細工に、蟹びしほ(○○○○)おするとて、塩一二升お用意し、ふりかけ居らるヽ処へ、ふと檀那来れり、さてもよくぞおはしましたる、内に人のはぐらみのいろお見せ参らせたやとこそおもひ候つれ、其故は愚僧がしんせつのだんな、尼け崎に有り、某つかふ程はしほおつヾけてくれんとの契約なり、されども道の程遠ければ、人馬のありきはざうさなる条、いつも蟹におふせて送らるヽ、これ御覧ぜよとぞ申されける、