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皇都午睡
初編中
鯖の鮓(○○○)京師にては、祇園会には、鯖の鮓お漬て客に出す、また鯖の鮓には塩加減第一也、加減は米壱升に塩四文目のわりに入れ、飯に焚て至極能加減なりしお、今にては塩目五文目入ても、水嗅くて加減あしヽ、諸人幸ひ好になりしか、又塩のきヽの薄く成りしかと雲に、是全く左にあらず、近世一統奢の境なれば、前々の如く辛き塩の下鯖は用ざるゆへ也と、京師の料理に心ある人の話にてしりたり、