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三編
梨子羹(○○○)一極最上の梨のよき所おわさびおろしにておろし、摺鉢にて能すり、毛すいのふにて裏ごしにし、かんてんおよく和に煮、梨子とかんてんと合せ、三ぼんの砂糖と焼塩とにて味おつけ、よきほどの塗もの、筥にながし、冷たる処にていかにも庖丁すべし、 柚子羊羹(○○○○)青柚子の皮ばかりおむき、おとし湯にて能やはらかに煮、水おかえ三日ほど水にて洒し、にがみお去り、摺鉢にてよく摺り、すいのふにて越し、かんてんお煮解してまぜ、砂糖と焼しほにて味おつけ、清き塗ものゝ箱にながすべし、 梅羊羹(○○○)一豊後梅お水にてあらひ、能々湯煮おして、二日ほど水にさらし、酢味お去り種お抜て、摺鉢にて能摺、すいのふにて漉、かんてんお微細にたゝき、味淋酒にて遠火にて煮解し、すいのふにて梅の中へ漉こみ、久介葛おとき、梅壱升ほどならば、葛五勺ほどとき、三品おあはせ、浄き筥に流し、さめて庖丁すべし、最煮かた口伝、