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元治物価上報

千長、もし此地の豆腐は結構でむりやすね、鶴人、さやうさ随分能むりやす、もし此方の豆腐は、あれで一丁でむりやす、万松、一丁には大分小さうむりやすね、鶴人、江戸の半丁よりも、まだ小ぶりで有やす、其替にはあれで十二文でむりやす、江戸の一丁は六十文、半丁が三十文、小半丁が十五文でありやすが、此方では半丁小半丁といふは売やせん、千長、成ほどそれでいひ訣でありやす、此地の一〈つ〉丁といふのが江戸の小半丁でありやすから、鶴人、油あげは江戸では五文に売やすが、此方では却て〈つ〉四文でむりやす、焼豆腐も近頃は江戸で、五文のやうすでむりやすが、こちらは弐文にうりやす、