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瓦礫雑考

香物秋斎間語に、香物は生大根に限るもの也、〈○中略〉といへるは、妄なるひがことなり、生なる大根は香物といふべき、香はあらぬもの也、新猿楽記に、精進物者、腐水葱(くだしなぎ)、香疾(かばや)大根といへるも、生の大根ならぬことは明かなり、〈○註略〉塩、美曾、酒のかす、何にまれ、物に漬たる菜蔬のかぐはしきお香物(かうのもの)といふこと論なし、