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守貞漫稿
後集一食類
香物〈○中略〉香の物、京坂にては、其名お詳に命ぜざるもの多し、塩糠にて乾大根お漬たるお、京坂にては、専ら香の物(○○○)或は香々(○○)とのみ雲、江戸にては沢庵漬(○○○)と雲也、沢庵禅師に始る故也、又蕪菜、大根等の塩漬お総て茎(○)と雲也、江戸にては大根等の茎のみお漬たるお茎の糠みそ漬、或は塩押(○○)等各々名あり、京坂にては塩漬の総名おくきと雲、本意に違へりといへども、年来の誤り今更改むべからず、江戸にては蕪の塩押、茄子の塩押、大根の塩押と各名あり、又塩糠に生大根、生茄子、瓜の類お漬けたるお、京坂にて浅漬(○○)と雲、江戸にては糠味噌漬(○○○○)と雲、其他糀漬(○○)、辛漬(○○)、味噌漬(○○○)、梅酢漬(○○○)等三都とも同名也、