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四季漬物塩嘉言
浅漬ふとき大根おえらみ、能洗ひて水気おかわかし、酒樽のあきたてへ漬るおよしとす、大根五十本、花麹一枚、塩一升、麹と塩およくもみ合せ、一段々々にふりて、其間毎に新藁お十五六本づゝ敷なり、上のかわに塩計二掴ほどまき、押蓋おして強き圧にて漬るなり、水十分にあがりて、廿日計にて漬かげんなり、風味よき所十余日の内なり、日お経れば、酸味の出る物なり、早く遣ひきるがよし、〈二丁町の茶屋にてつけるおことさら風味よしとす、一樽二樽おも、一日の内に得意方へ音物にするなり、久しくたくわへがたき品なればなり、新わらお挟みつけるは、色のよきためなり、〉